売上高が少なくなっても利益を産み出すために、費用の構造を見直します。そのためには総費用線を下げます。そうすれば損益分岐点も下がり、利益が出やすい構造になります。総費用線を下げるには、ふたつの方法があります。

@ 固定費を減らす
   固定費を減らすことで総費用線が下がり、損益分岐点が下がります。

A 変動比率を下げる
   売上高に占める変動費の割合を下げることにより総費用線の角度が減り、損益分岐点を下げます。

 

4.利益の出る体質にするために

利益を出す計画にすることから出発します。固定費は基本的には固定的で昨年度の数値とは変わりません。変動費は売上高に比例して増えたり減ったりしますが、その比率は基本的に昨年度の数値とかわりません。そこで次年度の損益分岐点の売上高が次の式で計算できます。

     損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費÷売上高)より

目標とする売上高=(固定費+目標利益)÷(1−変動費÷売上高)

たとえば、前述の例で予定する経常利益=1億円、固定費は削減に成功したとして2億円、変動費比率は(変動費ではなく)変わらず60%のケースを計算してみると、損益分岐点売上高は6.6億円となります。つまり、固定費を1億円削減に成功したことにより、6.6億円の売上高を達成すれば、経常利益が1億円出せる体質になった、ということです。6.6億円を超える売上高を達成できれば、1億円以上の利益が残ることがわかります。そこで次の行動計画として、新たに設定した売上目標を達成する戦略案と計画の立案と実行に移れることになります。

この計算式を活用すれば、たとえば他に、目標利益を設定し、売上目標を設定した場合に固定費をいくらまで減らす必要があるかとか、変動費比率をどれくらい下げればよいかといったことも計算ができます。

損益分岐点売上高の計算に限らず、他の財務分析の指標は昨今の会計ソフトに入っていることが多く、会社の計数的な実態の変化を年度ごとに見ることができるようになってきています。あるいは、税理士によってはこうしたデータを提供してくれます。これまでの経験や勘を活かすことも大切ですが、先を見た経営をしていく上で計数管理をしていくことで、会社の方針や方向が立てやすくなり、また社員の皆様の士気にも関係してきます。

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2.損益分岐点売上高を求める

損益分岐点売上高を求める式があります。

損益分岐点売上高=固定費÷(1−変動費÷売上高)

  =固定費÷(1−変動費比率)=固定費÷限界利益率

昨年度の決算書を見てください。たとえば、売上高=10億円、固定費=3億円、変動費=6億円、経常利益=1億円だったとします(変動費の率は、60%)。これを上の式に当てはめると損益分岐点売上高は、7.5億円となります。売上高が7.5億円のときに損益がゼロ、それ以上売り上げれば利益が出、それ以下だと損失になる、ということです。


3.利益を産み出すための費用の構造を見直す

次年度の売上目標を立て、それを達成できたとしても、必ずしも利益が出るとは限りません。したがって、利益を出すためには、その利益を出すための費用を考慮したうえでどれだけの売上を目標にして、それの達成のためになにをするか(どのような戦略と計画を立てるか)を検討することになります。

このため、まず目標とする利益と発生する費用を検討することから始めます。

費用は、固定費変動費に分けて考えます。固定費とは、売上高の増減に関係なく発生する費用で、変動費とは売上高に比例して増減する費用です。

・固定費の例: 給料、役員報酬、地代家賃、減価償却費、広告宣伝費、旅費交通費、通信費、会議費、支払手数料、雑費、等

・変動費の例: 原材料費、外注費、動力費、荷造運賃費、仕入原価、販売手数料、等

ちなみに、売上高から変動費を引いたものを限界利益といいます。

こんなときどうする?


「損益分岐点売上高」を採り入れる

1.損益分岐点売上高とは

損益分岐点とは、売上高と総費用が一致する点です。したがって、利益もなく損失もない売上高の額です。損益分岐点の売上高より多く売り上げれば利益が発生し、それより少なければ損失が発生します。