INDEX 入 管 業 務 雑 記(blog 風)
註:日頃のストレス発散のためにつくっているページです
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 業務の大半が入管、帰化申請、在留特別許可などの渉外業務。 会社設立にしても、ほとんどが対日投資や定住外国人の会社…。
 そんな私(名古屋の入国管理局申請取次行政書士)が、 日々の業務上 感じていることを、守秘義務の許す範囲内で書いていきたいと思います。

 入国管理局が持つ裁量権特殊性…。行政不服審査法も何も通じず、弁護士でさえ、『最後の聖域』と呼び、敬遠したがる役所・入国管理局…。(お陰で弁護士さんからのご紹介は多いですが… v(^^; )

 そして、一部の外国人たちの思慮に欠けた行動… (ともに 私の白髪の原因です (T T)。

2006年10月以降は、こちらのブログへ ⇒ ブログ! 国際業務雑記

スポーツ新聞の記事  コンサル会社って何??  ブローカーとの攻防  外国人には『モチはモチ屋』の発想が無い という話

名古屋の会社は・・・   投資・経営あれこれ   留学生の結婚の話   ボランティア団体の話

入管業務を始めたい、行政書士への呼び掛け 



【スポーツ新聞の記事】

 僕は今まで、スポーツ新聞というものを読んだことが(買ったことが)無かった。今回のことが起きるまで、どんな内容のものかも知らなかった。
 2006年4月、某スポーツ新聞の記者?から突然電話が入り、「日本人と中国人(取り分け中国人女性)との国際お見合い結婚について、いろいろとお聞きしたい」といったことを言われた。そして、「記事にも『旬』がありますので、なるべく早くお会いしたい」とのことだったので、その日の仕事が終わった夕方、30分だけでよければ ということで承諾した。

 おりしも、日本人とのお見合い結婚をして日本に来ていた中国人女性による重大な事件が2件続いた後だった(千葉県で中国出身の女性が夫である日本人にインスリンを投与した事件(殺人未遂罪で起訴)。滋賀県で幼稚園児童2名が中国女性に殺害された事件)。
 「何故 “スポーツ”新聞が…?」 とも思ったが…。 日中国際結婚、とりわけ業者婚の問題点や偽装婚の実態についていろいろとインタビューされた後、その記者は、「では、記事になったらその新聞をお送りします」と言い残し去って行った。金品は一切、受け取っていない。

 「送ります」と言っていたのだが、その後ぱったりと連絡は来なくなり、僕もすっかりそのことを忘れていた。しかし翌月になって、知人から「喫茶店で見たスポーツ新聞に写真付きでコラムが載ってたよ」と聞かされ、その記者に電話をしてみた。「記事に載せたのなら送ってくれませんか?」と伝えると、5月7日付けのスポーツ新聞が送られて来た。が、しかし…

 そこに書かれていることを読み、本当に驚いた! 僕が話してもいない内容が、あたかも僕が話したかのように書き加えられ、ところどころ卑猥な表現も加えられていた。『最悪のケース』として話したことが、ごくごく当たり前の よくあるケース のように書かれ、また用語の表現にも誤りがあった。
 あとになって気付いたが、前述の中国人女性(日本人の妻)たちの事件があった直後のことであり、記事としては、お見合い結婚で来た中国人女性は悪者である という、記事の『結論』が先にあり、それに利用されてしまったのだと気付いた。

 何よりも、このとき初めてスポーツ新聞というものの内容を知った僕は、「新聞」という言葉に騙されたことを知った。
 今まで、『中部経済新聞』にコラム(外国人IT技術者について)を載せてもらったり、NHKのドキュメンタリー番組制作会社から取材を受けた(外国人研修生について)ことなどもあった。スポーツ新聞の「新聞」という言葉のため、そうした、いわばマスコミと同一線上に考えてしまい、インタビューを受けてしまった。
 そもそも野球にも相撲にもラグビーにも興味が無い僕は、スポーツ新聞とは単にスポーツの試合結果だけ載せているものだと思い込んでいたのだが、写真週刊誌にあるような芸能ネタや、風俗の広告、ポルノ小説、有名人についてのくだらない内容のゴシップ…。 それは、こんなくだらないものが世の中に存在するのか?といった感じのものだった。

 喫茶店で偶然見つけて知らせてくれたのは僕の知人だが、大体が僕の友人・知人・お客さんには、こんなくだらないものを読む人間はいない。だからあまり実害は無いのだが、なんにしても気分が悪い。「訴えてやりたい」とも考えたが、こんな連中に目くじら立てていても仕方がない(写真週刊誌とかで好き勝手書かれてるタレントの気持が、少しだけわかりました)。今はただただ、これが目に触れた日中国際結婚カップルが、不快な思いをしないことを、祈るばかりだ。(2006年5月)





【外国人には『モチはモチ屋』の発想が無い という話】

 行政書士開業前は、「外国人は気軽に、簡単な仕事でも 依頼をしてくるものだ」と思い込んでいた。ルーティーンの簡単な仕事であれば、人に(事務員さんに)任せることが出来る。行政書士でもたまにあるが、従業員(補助者)を沢山抱える大きな事務所など、先生は社交に徹して ゴルフやったり 宴会出まくったりしているのだ。仕事の多くは事務員さんがやってくれるため、先生はいわば、社交していれば(遊んでいれば) いいのだ。
 だから、開業後しばらくして基盤が出来さえすれば、あとは優秀な事務員さん任せにして、それこそ「スタバみたいなとこで、夕方まで 新聞読んだり メールチェックしたりしながら コーヒーでも飲んで…。 2〜3時間に1回、事務所に電話入れて 「どう? 仕事は進んでるぅ…?」 とか言って…」(^^; などと、ほとんど妄想に近いことを考えていた。実際にそういうことをやってる同業者もいたからだ。
 が、しかし…。上記同業者は「車庫証明」や「建設業許可申請」などをメインにしていたが、開業後しばらくして、うちとは全く事情が違う ということに気がついた。
 ある程度 「ルーティーンで 簡単な仕事」 でなければ、事務員さんには任せられない。 そう、外国人も、『簡単なこと(仕事)を気軽に頼んで来てくれるはず…』などと考えていたのだが…。  簡単な仕事 なんて こねえ こねえ…(^^;

 外国人はとにかく "Do it yourself"自分で出来そうなことは 全部自分でやる のだ。出来そうなことは全て自分でやり、『自分では どーしようも出来ない 難しいことだけ(ToT) こちらに頼んで来る』 ということに気付いたのは、開業後のことだった。ときに、自分で問題を複雑化して、ぐっちゃぐちゃにして にっちもさっちも行かなくなってから… うちに相談に来る。

「これこれこういう条件なら、ビザの取得も可能ですよ」 とこちらが言うと、「だったら 自分でやりますよ (-o-) などと あっさり 言われてしまう (^^;。 つくづく思うのだが、「車庫証明」みたいな簡単なことを、わざわざ お金払ってまで人(業者)に頼んで来るのは、日本人(や日本で生まれ育った在日コリアンの人たち)ぐらいじゃないだろうか…?

 アメリカに住んでいたときのことを思い出した。
 アメリカにはいたるところに、D.I.Y などと書かれた生活雑貨・部品の大型店がある。"Do it yourself"の略なのだが、「自分で 家でもつくる」アメリカ人は、これをごく普通に活用している。文化の他、人件費が高いのも理由のひとつだろう。ガソリン・スタンドなども、自分でガソリンを入れるのと店の人にやってもらうのとでは、値段に格段の違いがある。『出来ることは自分でやる』のが、アメリカの常識 なのだ。
 当時、向こうで中古車を買ったのだが、その車(フォードの大衆車)には なんと、助手席側のサイド・ミラー(アメリカは左ハンドルなので、右側のミラー)が付いていなかった。取れたのか(盗まれたのか)と思いきや、そもそも構造上、付いていない車なのだ。日本では考えられないが、アメリカでは自動車運転の教習所でも、「ななめ後ろから来る車などは、助手席側のミラーではなく、振り向いて安全を確認しろ」と言われる。そのため、構造上最初から付いていない車も多く、実際、街中の車の3割くらいは、サイド・ミラーが一つしか付いていなかった。
 アメリカ人のルームメイトに相談すると、「ミラーはD.I.Yのお店で売ってる。不安な人は、みんな 自分で 取り付けてるよ」との回答。早速 ミラーを買いに行った。店に行くと、なるほど片側分のサイドミラーが沢山売られていた。車種に合うのを選び、付けようとしたが…。それは粘着テープとか簡単なものではなく、車にドリルで穴を開けて取り付ける様式のものだった。またまたルームメイトに、「近くにガソリンスタンドとかで、これを取り付けてくれる業者はあるか?」と聞いてみた。が、そのとき彼は…
 ここはアメリカだよ。そんなのは自分でやるもんなんだよと言い、ガレージから電動ドリルと安全ゴーグル、革の作業用手袋を持ち出し、貸してくれたのだった(註:アメリカ人の家のガレージには、この手の道具が普通にあるのだ)。 かくして、それまで ネジ回しも持ったことの無かった(^^; 僕が、電動ドリルで車のドア部分に穴を開け、サイド・ミラーを取り付けたのだった。

 アメリカ人にしてみれば、電動ドリルで車体に穴を開け、サイド・ミラーを取り付けるくらいのこと、わざわざ業者にお金払ってまですることじゃない ということだろうか…。
 日本人だったら、例えば 街なかで車がパンクして、後ろにスペア・タイヤ積んでるのを知っていたとしても、「面倒くさい」「ちょっと不安」「服が汚れそう」などの理由で、一番近いガソリンスタンドまで ソロソロと運転し、業者にお金を払ってタイヤ交換… してもらったりする人が多い。「自分でも出来そうだな…」「ひょっとしたら 自分で出来るかも…」といったことでも、大事をとって、お金を払って 専門の業者に頼むという発想(モチはモチ屋の発想)が、アメリカを始め、多くの国々には無い。
 かくして、うちの事務所には、外国人本人たちが自分では対処し切れない、「難しい案件」ばかりの相談・依頼が集中し、そのため僕は、開業後の数年間で 白髪がとてつもなく増えた(T T) のだった…(難しい仕事ばかり来たお陰で、詳しくはなれたが…)。

 もっとも、今は 過去の依頼者の多くが「最初から専門家に頼んだ方がいい」と判断し、初期の段階で(大事をとって)案件を持って来てくれるため、以前よりは大分 楽になった。が、しかし…。
 毎日スタバで 夕方までコーヒー、ゴルフに 社交に… とか言ってられる身分には、まだ当分 成れそうにはない(- -;。(2006年3月)





【名古屋の会社は・・・】

 「名古屋の会社はケチだ」「シビアだ」とは、前々から同業や他士業の先輩たち、仕事や様々な交流を通じて知り合った中小企業の社長さんたちなどからも、しょっちゅう聞かされていた。でも、長い間その言葉を、実感出来ないでいた。

 ある日、愛知県内の某大手企業から問合せがあった。 泣く子も黙る?世界の○○○ のグループ関連企業で、ここだけでも 従業員 5,000名以上、売上高 ○,○○○億円 という大企業だ。もちろん、あまり詳しいことはここでは書けないが、外国人社員に関するご相談だった。

 「これは これは… いい話が来たぞ v(^^) 」 と一瞬 喜んだものの、すぐにそれが甘かったことに気付かされた。

 こちらが、「県内ですが 少し遠いですし、こちらから出向きますので、相談料のほか“弱冠の”『日当』を頂きたいです」と伝えたところ、社員5千名以上の大企業の人が なんと!
 「日当をお支払いするのを セーブしたいため、こちらから伺います」 というのだ!

 呆れた…(-o-; 本当に 呆れた。 「名古屋の会社はケチ。シビア」とは、前々から聞かされていたが、これほどとは…。
 かくして、従業員数千名の大企業の人が、わざわざ うちの小さな事務所 へ来られたのだった(^^; 。

 愛知県企業群の徹底したコストダウンぶりは、よく知られている(それでなくとも、そもそも『外国人雇用企業』にはコストダウンの発想が強いところが多いが…)。
 『石橋を 叩いて 壊す 愛知企業』 という言葉があるくらい、新規参入者に対しては慎重で、無借金経営を誇り、下請けや取引先は「生かさず 殺さず」のシビアな交渉で詰められ、厳しい状況に置かれている という…。 ときに、「お宅も うちと取引があれば、信用がつくでしょ?」という感じでタダに近い金額を掲示して来たりする などという話や、よく言われる「名古屋で商売をやれたら、どこででもやっていける」とかいう話も聞いてはいたが、悲しいかな納得出来るようになってしまった。

 そして、実はこうしたことに かなり憤慨していたのだが、最近ある記事を読み、私も 考えが変わった。

 質実剛健を良しとする 愛知県企業群の模範、世界の○○○(愛知の○○○) だが、なんと、あんな超大企業の 部長職の人でさえも、出張時のグリーン車使用は禁止 なのだそうだ。海外出張も 4時間以内ならエコノミーで行け! 社内の電気も極力消し、コピーもカラーコピーはお金が掛かるから 極力 白黒で! などなど、会社全体が一丸となって!コストダウン しているのだ。社員に対してもこれなのだから、我々のような いわばアウトソーシングなど、真っ先にコストダウンを要求されるのが、ある意味 当然なのだろう。
 実は上記の件以外にも、名古屋大企業のシビアさをひしひしと感じることは何度かあった。ある別の大企業(これも、知らない人はいない会社)の担当者は、うちの事務所へ相談に来た際、相談料を“自腹で(自分のポケットマネーで)払っていったのだ。何でも、「小額でも決済をもらうのに細かい説明を要し、稟議を回すのにも時間が掛かる」のだそうだ。なんせ『情報』(だけ)にはカネを出さないという体質のため、社員たちがいろいろな場面で、自腹で解決せざるを得ないことが容易に想像出来る。

 また、自動車関係ではないが、やはり名古屋を代表する某金属関係大企業の話。かつてそこでOLをやっていた女性から聞いた話なのだが、「その大企業に勤めていた頃、鉛筆が短くなると、2本をつなげて(そういえば昔、短くなった鉛筆を差し込む金属の文具がありましたね)使うように上司から言われていた」そうだ。でもそれがなんと…
 バブルの頃(80年代後半)!(^^; の話なのだ!!

 そして、だからこそ、愛知県企業は業績がいい のだ。バブル期の後遺症も少なく、こうやって貯めて貯めて、下請けや取引先、外注先を 叩いて 叩いて コストダウンを図り、社員にも節約をさせ、莫大な純利益 を確保 しているのだ。 強い企業 として、勝ち残って行くために…(思えば、三河(愛知県)出身の徳川家康もそうだ。 『百姓は 生かさず 殺さず』 といったのは家康だそうだが、そうやって天下を取ったのだ(汗;)。 また、一般的に考えれば「経費を使って利益は押さえて」という流れになるのに、どーしてそこまでのコスト削減を? とこれも長い間の疑問だったのだが、株主への高配当維持(M&A対策、企業の防衛策)とか、いろいろと理由があるらしい(実際、上場企業であればどんな大企業でも買収されるリスクはあるそうだ)。

 日本一景気がいい(といわれている)街、名古屋…
 東京・大阪の企業や大手会計事務所など、「業績のいい会社が多い 名古屋へ行けば儲かる」と思い、こぞって名古屋進出 を考えているそうだが…。  彼らは、名古屋 大企業の純利益が、中小下請けや取引先、アウトソーシング先の 血と汗 で出来ていること、地元末端経済はそう潤っていないことを、わかっていない…(もっとも、かくいう私も「東京の企業なら情報にもおカネ出してくれそう…」とか勝手に思い込んでて東京の家賃調べたりしてるのだが…。ひょっとしたらこれも「隣りの芝生…」なのかもしれない(汗;。(2005年11月)





【投資・経営あれこれ】 (入管職員に もの申す)

 「投資・経営 Investor / Business Manager 」という在留資格がある。簡単に言えば、外国人が日本に投資し、会社を経営または管理し、ビジネスを展開していくことを条件に、日本での在留資格(正しくは「在留資格」だが、以下、便宜上「ビザ」と呼ぶ)を認められることだ。
 基本的に、当該外国人が日本で会社を設立し、自宅とは別に事業所を構え、ビジネスに必要な投資をし、人(日本人や永住者など)を雇用し…といった形式的要件の下、事業計画書なども添付して入国管理局へ申請することになるのだが(註:これらの形式的要件にはもちろん例外もありますが、ここでは省きます)、昔はこのビザ、一部の外国人からは『金で買えるビザ』などと言われていたらしい。今はもっと実質面を見られるようになって来てはいるが、私にすれば、今より更に、『形式面』よりも『実質面』(つまり、「本当に日本でビジネスをしたいのか?」「その能力があるのか?」)で審査するべき だと思う。

 よく定住外国人から、その兄弟を「日本で就労させたいから…」などといった相談を受ける。多くの日本人は知らないが、日本で就労ビザを取ることは意外と大変で、高度な学歴や専門的な職歴(10年間とか)などが必要であり、かつ 日本国内の会社での職務内容などと合致して初めて就労ビザを得ることが出来る。それくらい、本来は難しいのだ。
 では、母国にいる兄や弟が、大卒など 高度な学歴を持たない、専門的な職歴も無い などといった場合、どうするのか? そういうとき、彼らがよく口にするのがこの『投資・経営』である。大卒じゃないし職歴もないから、『人文知識・国際業務ビザ』や『技術ビザ』(ともに就労ビザ)は取れない。コックさんでないから『技能ビザ』も取れない…。「だったら 日本でビジネスを やることにして…などという話を聞くと、うんざりする。

 私は、『本当に日本でビジネスをしたい(単なる出稼ぎのためのビザ目的ではなく)』と思えなければ、お手伝いはしないことにしている。しかし、大きな会社の経営・管理者(例えば外国の大手企業の日本支社・子会社など)ならばいいが、個人的にビジネスをスタートしたような外国人の場合、前述の『形式的要件』をそろえるのが、けっこう大変だったりする。
 一方、日本に既に足掛かりがあるような場合(身内がいるとか)、例えばムスリム圏出身外国人が、日本にいる兄弟(日本人の配偶者か、永住ビザを持っているような兄弟)が準備した中古車輸出会社の『取締役』になり、自宅アパートの他の 兄や弟の住む自宅を『事業所』ということにし兄弟とその奥さん(日本人とか)の計2人を『社員』として雇用した形にし… と、これで前述の形式的要件が見事にそろってしまうのだ(註:現在は必ずしも正社員2人要などということはありませんが、ここで その説明は省きます)

 こんな馬鹿な話があるか…。本当にビジネスをしたい人が厳しい審査を受け、実際は出稼ぎでしかない能力の無い人が、兄弟からの出稼ぎ幇助を受け、形式的要件がそろうことで比較的早くビザを取れたりする。もちろん、審査方法の改善はされて来ているが、なんとも納得出来ない…。これに限らず入管法は(全てにおいてそうかも知れないが…)、「正直者がバカを見る」ようなことが多い。(2005年9月)




【留学生の結婚の話】

 工事中





【ボランティア団体の話】

 2005年6月、(財)名古屋国際センターの方たちからインタビューを受けた(これは別に実名出してもいいでしょう)。外国人向けニュース誌・NAGOYA CALENDAR (英語版とポルトガル語版)の8月号に、我々行政書士の仕事がどんなものなのか、「どのようなときに外国人を助けられるのかを、外国人向けに紹介したい」ということだったので、喜んで引き受けた。
 アメリカ人、ブラジル人、日本人の担当者の方々3名と お話し、あっという間に1時間ほど経ってしまった。我々の仕事について ある程度わかって頂けたと思うし、有意義なお話が出来たと思うが、ひとつだけ気になったことがあった。
 我々の報酬は?というところで、やけに 上限はいくら?だの、いくらでやるんだ?だの、金額の明示を求めてくる。入管手続は、例えば 同じ 在留期間更新であっても、すんなり3年の期間をもらえるようなものもあれば、在留状況があまりにも悪く、一度帰国して出直した方がいい(在留資格認定証明書交付申請等をして)ような更新もある。つまり、金額のここでの明示は難しく、「ケースによる」と伝えた(有限会社設立や株式会社設立については、大方の「相場」をお伝えしておいた)。
 私が気になったのは、金額云々よりも センターの方々の考えが見えたからで、どうもボランティア団体の方々は、『業者=悪。外国人=被害者』といった図式が、頭の中に出来ているように思う。
 とんでもない…。行政書士でもこんな仕事(外国人相手の仕事)をしている人間は、昔はともかく今は若い人たちを中心に善人が多い(むしろ人が好過ぎる…くらいだ)。 外国人がボッタくられることを避けたいのはわかるが、はっきりいって我々行政書士よりも、一般の外国人の方が価格交渉能力は断然 高い。だから国際センターの方々には、 「むしろ我々が報酬もらえるかどうかを、心配して頂きたいくらいです」と言っておいた。

 数年前のある記憶が甦った。ミャンマー人の学生のための手続をしたときのことだった。もちろん詳しいことはここでは書けないが、ボランティア団体(国際交流団体)まで関係してかなり大掛かりな申請になった。飛び込みなら断りたい案件だったが、紹介で来たし、真面目な留学生だったため引き受けた(外国人にもいろいろいる。手助け無しでもずる賢く立ち回り 日本でうまくやれる人間もいれば、そうでない人もいる)。 そして、違法性は無いが極めて入管に嫌われるタイプの申請だったため、本人申請でさせることにした。 最初に話を聞いた段階で「かなり厳しい…」と思った案件で、大変だったが、なんせ金の無い苦学生だったため ほとんど実費しかもらわなかった。私自身、そのときはそれで納得していた。
 しかし、当時 国際交流団体(日本ミャンマー○○協会)の名古屋代表某氏から言われた言葉は、いまだに耳について忘れられない。 私が、この申請のための、夜遅くまでの電話のやり取りの中で、「本人のために手続をやってあげているだけだ」と言ったら、「金 取ってやってるだけじゃないか!」と言われたのだ。 利益が無いどころか、時間をとられて 負担を感じる申請だった。私が、「こんな仕事してる暇あったら、他の仕事してる方がよっぽど カネになりますよ」と言い返してやったら 少し黙ったが、今思い出しても悔しい…。
 これが、ボランティア団体の人たちが多く 頭に描いている『図式』なのだ。

 本人も払えない(お金がない)行政も負担しない(外国人なので)ボランティア団体も推薦状は出すが カネまでは出さない という中で、我々業者がそれを負担するのはおかしい。『難民認定申請』など “名前が売れる案件” であれば、“人権派?”の弁護士さんがやってくれるかもしれないが、そうでなければ誰もやってはくれない。

 しかし、善人振る訳じゃないが、そういう外国人を救ってあげないと、真面目な留学生も反日的になって帰国することになる。つまり、日本という「国」にとっても、いいことをしているつもりなのだが、誰もその代金を負担してくれない。
 例えが悪いかもしれないが、医者は本人が3割とかしか代金を出さなくても、残りは国が負担してくれる。うちは小さい子どもがいるので助かっているが、日本には ある年齢まで、子どもは医療費タダ というところが多い。しかしそれは決して、『タダ』ではない。過疎地医療にしてもなんでも、医者はボランティアではなく、国からその分をもらっているのだ。我々にはそれがない…(そのシステムが無い…)。 挙句の果てに、「金 取ってやってるだけじゃないか!」などと言われてしまう…(じゃぁ、どうやって生活していけばいいんだ? あんたは収入ないのか…?)。

 ということで、私は以来、ボランティア的な仕事は止めた。 「手間が掛かる」、「時間を取られて他の仕事が出来ない」、「おカネにならない」、「手伝っても感謝されるどころか、「業者だから…」みたいな感じでボランティア団体の人に言われる…」。何もいいことはないからだ(私と同じ経験のある行政書士は、多いと思う)。 また、「かわいそうだから…」などという理由でダンピングをしてしまっては、それこそ業界存亡の危機にも関わるし、外国人から、「この人は助けてくれる人…」みたいに思われるのも困る(何れ別項で書くが、大体が 外国人は、「助けてもらえるのが『当たり前』」になってしまう人が多いのだ)。
 上記のようなシステムがあれば(どっかの大企業が基金でもつくってくれるとか… 国が新たに予算を組むとか…)、救われるべき外国人 がもっと救われるに違いない。(2005年8月)



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